あれは、昨年の夏。

ロンドンオリンピックで世間が盛り上がっていた夏も過ぎ去った秋のある夜のこと。

 

田村君というたまたま同じ苗字、たまたま同じ大学、たまたま同じ学年、

たまたま同じ生まれた月、たまたま同じ税理士という男と飲んでいた。

 

近所の居酒屋で飲んでいた時のことだ。

 

いい歳した男女が夏の夜に居酒屋で・・・・

なんて聞くと、なんだか浮ついた展開を期待したいところだが、

残念ながら昔っからそんなことにはならない。

 

なると言えば、ケンカの方が多い。

きっと、田村君は喧嘩しているつもりはないが、

私は毎回、意見が食い違うと本当に気が合わない奴だ。

もう、一生口をきくもんかと思っている。

 

その日は、珍しく喧嘩にもならず、

お互い、30歳間近にも関わらず、

暑苦しい話をしていた。

 

『4年後どうなっていたい？』

 

ロンドンオリンピックの余韻が残る時期だったので、

4年後のリオデジャネイロオリンピックの時はどうなっていたい？

という話の流れだったと思う。

 

酔っていた。

おそらく大好きなビールを近所でのんでいたので、

どんなに酔っぱらっても、

家まで近いから大丈夫だろう。

 

そんな気の緩みからいつも以上に飲んでいた気がする。

 

『自費出版でもいい。本が書きたい。』

 

物心ついたころから、

国語力が乏しかった。

 

努力と根性である程度の科目はこなしてきた。

しかし、国語、現代文、これは努力だけではだめだった。

 

うちの母親が聞いたら腹を抱えて笑うだろう。

うちの妹は鼻で笑うだろう。

 

恥ずかしながら、24歳まで読書をする習慣がなかった。

必要に差し迫った時、例えば論文を書く時、調べものの時など、は読んでいたが、

それ以外、好き好んで本を読むということは全くなかった。

 

読むと言えば、週刊誌、そう、週刊SPAの投稿欄くらいだった。

 

それくらい活字というものが嫌いだった。

そんな私がよく税理士になれたなあと。

 

税理士試験は条文という多くの活字と向き合い、覚えなければならない。

よく向き合えたなと思う。踏ん張れたなあと思う。

 

おそらく受験時代は、条文の一文字一文字を字ではなく、夢として捉えていたのだろう。

早く覚えれば覚えた分、夢に近づく。

早く眠れる。夢がみれる。

それくらい、苦手な活字だろうと、睡眠を欲していたのだろう。

 

その後、

そんな活字嫌いの私が

本を食べるように読むようになった時期があった。

どんな本を読んでいたかは、また別の機会を設けて書きたいと思う。

 

話を戻す。

本を読むようになって愕然とした

 

自分はなぜ今まで食わず嫌いをして本をよんでこなかったのか。

たくさんの偉人達の考え、教えをなぜ学ぼうとしなかったのか。

 

それから、

むさぼるように本を読むようになった。

 

その頃彼氏もいなかった私は、

出勤前、朝5時に起きては本を読んだ。

仕事が終わって夜7時から家路に着く24時まで読み続けた。

土日も読んだ。酒を飲んでも読んだ。

 

寝食を忘れるほど、置き去りにしてもいいほど、

熱中したことは後にも先にもこれが初めてだったと思う。

 

それだけ暇だったのかもしれない。

確かに暇だった。

 

しかし、それ以上に読書が楽しすぎて没頭した。

 

初めておもちゃを与えられた子供のようだったと思う。

それくらい熱中した。25歳にして、今更読書に熱中した。

 

そのころからだと思う。

これだけ熱中した本というものを、いつか書きたいと少しずつ思い始めていた。

 

『じゃあ、毎日ブログかけよ。』

 

話は田村君との飲み屋に戻る。

4年後、本を書きたいといった私に、酔っぱらった田村君が言った。

 

なぜブログだったのかはわからない。

しかし、言われたその時、何も疑問を持たなかったのは事実。

 

『お・・・おお！！！わかった、毎日書くよ！』

 

私が毎日、ブログを書き続ける理由。

ただ、これだけである。

 

約束したことは守る。

ただ、これだけ。

 

さすがに毎日書いていると、

文章を書くことに苦手意識、抵抗はなくなった。

しかし、やっぱり文章力は昔と変わらず、上達していない。

 

夢を持つのは自由。

 

夢が叶うかどうかはわからない。

ただ、夢に近づくために自分でした約束は守りたい。

どうなることやら。

よくわからないが、今日も、明日もきっと私はブログを書き続けると思う。。

 

～完～