ある女税理士の仕事と家庭について【会計人コース4月号掲載記事】
会計人コース4月号に執筆させていただきました。
年始にこのブログをみた会計人コース編集部さまからお電話をいただき、飛び上るほどうれしかったことを思い出します。
今回は「私の独立開業日誌」コーナーで執筆させていただいた記事をご紹介。
0歳の娘を持つ女開業税理士
足立区で顧客ゼロの状態で29歳の時、開業しました。今回は、開業しながらの妊娠・出産・育児についてお話しいたします。
破天荒な女の開業期
破天荒な開業時の出来事を笑いながら見てください。
2013年2月22日 入籍
2013年4月1日 開業
2013年9月17日 結婚式
2013年11月末日 妊娠発覚
2014年8月 かわいい女児を出産
どうでしょう。人生何があるかわからないというのを身をもって証明している最中です。何も後ろ盾がなく開業したのでもちろんお客様はすべて自分で獲得してきました。ブログを開設し、ネット上での営業はもちろん、異業種交流会なども足繁く参加したりもしました。入籍早々、離婚されかねないような行動をしてきました。
頼らない妊娠から出産
そして、11月末。妊娠が発覚。まだまだ顧問先が少ないとはいえ、1人でここまでこなしてきました。これから3月の確定申告時期を迎え、そして出産予定日の8月は顧問先の申告月でもありました。正直、破天荒な私でも不安になりました。妊娠は初めてのことでしたし、体調がどう変化するか想像もつきません。しかし、妊娠してしまったことを辞めることはできないですし、税理士を廃業するわけにもいきません。
個人の確定申告時期はつわり真っ最中でした。えづきながらなんとか乗り切りました。そして、安定期に入った頃、妊娠糖尿病、切迫早産というまさかの安静にしなければいけない事態に陥りました。しかし、決算・申告は待ってくれません。私なりに安静にしながら仕事を続けました。
ちなみに私の夫は税理士とは無縁の職業ですので仕事上頼ることはできません。最悪の事態も想定して、独立仲間に相談していましたが、妊娠も仕事も実はぎりぎりの綱渡り状態でした。
出産から頼る育児へ
無事出産を終え、入院中から仕事を再開しました。入院道具の大半は仕事道具。出産しようが申告期限は延長できません。これが自営業の大変なところかもしれません。産休育休なんてありがたい制度はもちろんありませんから。
しかし、それを選択したのは自分なので後悔なんてしてはいけません。これくらいで厳しいと思う方は絶対に独立しないことをおすすめします。
ある1日のスケジュール
現在、娘を保育園に預けいていないので(4月からは預ける予定)、夫と母親の休日だけ仕事をしています。
6:00 起床
6:00~8:00 作業
午前&午後 お客様訪問もしくは作業
17:00~24:00 資料作成等の作業
25:00 就寝
ご覧のとおり、仕事の日と決めた日は一切、家事育児をおこなっておりません。娘は完全ミルクで育てているため、私が一緒にいなければいけないということもありません。母乳でないため誰があげても一緒。お風呂だって私でなくていいわけです。
その代わりそれ以外の日は娘中心です。もちろん寝ている時に作業はしますが、それ以外は一緒に遊びに行ったり、お風呂に入ったり、ごくごく普通のお母さんをしております。
このため、仕事に集中できないストレスもなく、仕事日以外は全力で娘と接することができます。出産前は子どもが本当に苦手で、育児ノイローゼになるのではないかという不安しかなかったのですが、オンオフのめりはりをつけているからか、まだ一度も娘にムカついたことはありません。
開業税理士は家族の理解が必須
税理士に限らず、自営業の女性は家族の理解が必須でしょう。家事・育児は女性がやって当たり前と言う考えの旦那様では絶対に無理でしょう。
自営業というと自分の好きな時間に仕事ができるから育児と両立できるのではと思われがちですが、子供は意思疎通の図れない生き物です。なぜ泣いているのか、言葉で表現してくれないため、スケジュールを事前に組むことができません。そんな生き物と一緒にいながらの仕事は、大人と仕事することよりもはるかに難しいのです。大人のように昼は12~13時などときめられません。子供と一緒に仕事をすることがどれだけ大変なことか、家族に理解してもらうことが必須です。
開業してから子供ができてよかった
ここまで読むと、産休育休はなく、家族の協力はあるとはいえ、育児をしながらの仕事は大変すぎると思われるかもしれません。しかし、私はこの生活スタイルを気に入っています。
というのも、子供と四六時中一緒にいると滅入ってしまうからです。娘のことは大好きですが、意思疎通の図れない生物とずっと一緒にいるのは私には厳しい。また仕事に集中できる日が少なくなりましたが、逆に効率よく仕事ができるようになりました。そして、自営業ならではですが、スケジュールも自分である程度調整することができます。子供に合わせてスケジュールを組むこともできますので、仕事もけじめをつけて取り組むことができるようになりました。子供ができたことにより時間の使い方がうまくなったように思います。もちろん出産前の方が仕事にあてる時間がたくさんありましたが、今でも思うぞんぶん仕事ができ、そして思う存分子供とあそぶことができています。もちろん育児にどれだけ力を入れたいかによっても異なってきますが。
開業を目指す方へ
私は足立区のお客様が多く、特に開業したばかりの方が中心です。決算・申告業務はもちろん設立時の経理整備、融資支援なども行っています。
独立は大変です。営業から申告まで自分でやらなければなりません。すべて自分の責任で、収入も不安定です。
しかし、大変ながらも独立してよかったと思っております。新しいことも組織の決裁なく自分の判断でチャレンジできるからです。
また自分のスケジュールも自分次第です。育児に専念したい時は仕事を調整したり、バリバリ仕事をしたいなら営業活動に精を出せばよいしとすべて自分次第です。
税理士という手段をもてば、安泰ではありませんが、可能性が無限に広がると思います。受験時代は合格のことしか頭にありませんでしたが、資格はとっただけでは何も意味がありません。どう、使うかが重要だと思います。一起業家として、将来どんな戦略で税理士として働いていくのか、考えながら試験に臨んでみてはいかがでしょうか。 ~完~
印刷物でみるとひどい上から発言ばかりで引いてしまいました。
夢である執筆ができた
執筆したい、本が書きたいとうるさいくらいブログでいっていますが、
それがこのブログのおかげで叶いました。
夢は言い続ければいつか叶う。
と恥ずかしいことを恥ずかしげもなく言わせてください。
会計人コース様!
素敵な機会をありがとうございました!!
この記事を読んだ受験生が、将来独立したいと思ってくれますように!! 爆
この記事を書いた田村です。
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S59生まれのアラサ-人妻税理士。
2018年12月に処女作『ブスのマーケティング戦略』を発売。
ジャックダニエルとメガネ男子が好物。
昼は、チャリで駆け回るフットワークの軽さだけが売りの税理士。法人、個人問わず、会計税務の問題を解決するために日夜奮闘中。
目標なき成長はなし!と女子っぽくない暑苦しい一面をもっている。
しかし、夜は昼から一転。北千住を一人で飲み歩き、店員さんに絡むことが唯一の楽しみという一面ももっている。
家族構成:夫・娘(5歳)
愛読書:週刊SPA
大好きな作家様:水野敬也先生・カレー沢薫先生
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