あなたの匂いが忘れられなくて。ファブリーズおじさん。
「え。タクシーにのるなんていい生活してますね。」
「そんなことないですよ。自分の体重を膝がささえられないから仕方なくタクシーに乗っているだけです」
膝が痛い。臨月と同じくらいの体重になってしまった。
お腹の中には何かがいるのかもしれない。
うん。脂肪ちゃんですね。
あ、脂肪君かな。
タクシーは一期一会だと思っていた。
2か月前でしょうか。
保育園に娘を迎えにいくのに時間がやばくて、北千住駅のタクシー乗り場から乗ったわけです。
その社内がとてもいい匂い。
私「いい匂いですね。」
と言ったら、待ってました!とばかりに話し始める運転手さん。
運「そうなんですよ!車専用の芳香剤は匂いがきついから、部屋用のファブリーズを振りまいてるんですわ!」
私「へ~。いい匂いですね。」
といってその日は普通に下車しました。
まさかまた会えるなんて思いもせずに。
あれは雨がしとしと降る夜に。。
いつも一人でふらっといく馴染みのバーがあるんですが、
まあ、雨が降ってきたので、タクシーを呼んでもらったわけです。
このお店で飲むときは大抵、タクシー帰りなのですが、
まあ、運転手さんによって経路が違うわけですね。
大抵の方は一番、近道な経路を通ってくれるのですが、たまに意味の分からない遠回りをする方もいるわけです。
全力でこちらがナビすることになるわけですが。
そんなバーから帰るために呼んだタクシー。
「ごちそうさまでした~」
といって、店をでて、タクシーに乗った瞬間。
あ、私、この匂い知ってる。
冬になるとどこからともなく焦げた匂いがしてきて、冬の到来を感じるのと同じで、
夏になると自分の汗くささで死にそうになって、夏の到来を感じるのと同じで、
タクシーにのった瞬間。
私「あ、もしかして前にも乗せてもらったかもしれません!」
運「え?そうですか??」
私「この匂い、車の芳香剤じゃなくて、部屋用のファブリーズスプレーですよね?」
運「おお、そうですよ!」
でも、まだ運転手さんは私のことを思い出せない様子。
まあ、毎日たくさんの方を乗せているわけで、覚えていなくて当たり前です。
そんなファブリーズおじさんの最高の走り。
まさかの今まで通ったことのない道を走りはじめたおじさん。
ん??また遠回りされている?
と思ったら、すごい早い。すごく近道。
そして、なぜかいつも赤信号になってとまるところも、
青信号で、いつもより安い金額で到着してしまった。
まじか。感謝の気持ちを伝えた。
そうしたら、生まれも育ちもずっと足立区だから。
と一言いって走り去っていたファブリーズおじさん。
感動した。
それからまた1か月。やっぱりしとしと雨が降っていた
また馴染みのバーで星野源について話まくって、タクシーを呼んでもらった。
忘れていたあの匂いだった。
私「ファブリーズ!!」
運「無線でこの店って言われて、もしかしたら?って思ったんだよ」
独身だったら、まじで運命を感じてこのままどこか遠くへいっていたかもしれない。
相変わらずファブリーズのいい匂い。
そして、相変わらずの最高の走り。
すべてが心地よかった。
最高に気分がよくて、
おつりの60円はこの感謝の気持ちで、受け取ってください!と言った。
そしたら、飴玉をたくさんくれた。
もうすべてが最高に心地よかった。
いつか私はファブリーズおじさんとどうにかなってしまうという危険性もなくはないが、
私はこのファブリーズおじさんを今後、指名し続けるであろう。
運命の人だから、きっとまた会える。
ファブリーズおじさん。素敵な夜をありがとう。
この記事を書いた田村です。
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S59生まれのアラサ-人妻税理士。
2018年12月に処女作『ブスのマーケティング戦略』を発売。
ジャックダニエルとメガネ男子が好物。
昼は、チャリで駆け回るフットワークの軽さだけが売りの税理士。法人、個人問わず、会計税務の問題を解決するために日夜奮闘中。
目標なき成長はなし!と女子っぽくない暑苦しい一面をもっている。
しかし、夜は昼から一転。北千住を一人で飲み歩き、店員さんに絡むことが唯一の楽しみという一面ももっている。
家族構成:夫・娘(5歳)
愛読書:週刊SPA
大好きな作家様:水野敬也先生・カレー沢薫先生
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