資格お悩み電話相談室の回顧録①
あれは2年半くらい前のこと。
娘が産まれてはじめての確定申告の時期だった。
一本の電話がなった。
その頃、集客にギラギラしていた私は、また問い合わせかと思って意気揚々と電話をとった。
女性「ホームページを拝見しまして、こんなこと相談していいのか悩んだのですが。。。。。」
私「なんでも相談してください!!!(ギラギラ)」
女性「いいんですか??実は・・・・息子の進路についてなのですが。。」
・・・・・・息子の進路?
悩みのポイントは次のとおりだった。
息子が第一希望の大学に落ちてしまった。
人と話すのが苦手。
もくもくと計算をするイメージがある税理士になりたい。
4月~、資格の専門学校に入るか、浪人して再度大学受験をするか悩んでいる。
・・・・・・・知らんがな。
と思いつつ、電話越しのおかあさんの声が少し震えていたような気もしたので、
電話を切ることができなかった。
大事な息子さんの将来。心配であろう。
身近に税理士はいますか?
私「私自身、まったく仕事内容を知らずに資格をはじめたのですが、資格勉強と実務ってかなりギャップを感じるところがあります。身近に税理士などいてお話し伺って事あります?」
女「いや、、、全くないです。」
私「資格勉強は黙々とこなすことはできます。極論誰とも話さず、合格することも可能なのかもしれません。
でも、実務はお客様あっての仕事です。基本的に、話すこと、伝えることが仕事だと私は思っています。
なかにはお客様対応をしない会計士、税理士もいるのかもしれませんが、需要は限りなく低いような
気もします。私も資格をとれば、将来安泰と思いながらずっと資格勉強をしていたのですが、取っただけでは
仕事はできない。その知識を活かして、伝えられないのであれば全く使い物にならない資格だと思います。
人とコミュニケーションが苦手だから、税理士を目指すというのであれば、時間も金もそれなりにかかる資格ですし、あまりお勧めはできないかもしれませんね。話してなんぼですから。」
母「資格だけとれば安泰かと思ってました。」
私「私もずっとそう思っていました。それがどっこい、なかなか知識以外のスキルも重要なんだなと思っています。特に、独立してからは自分で営業もしなければなりませんし、勤務税理士の時とはまた違ったプレッシャーもありますし、同じ税理士でも全然、考えていることは違うかもしれませんね。」
母「じゃあ、、息子はどうすれば・・・・・・」
私「一度、税理士事務所にアルバイト行ってみたらどうですか?そこの税理士さんの働き方をじっくり観察してみるといいと思いますよ。それで自分が本当にやりたいことなのかどうか考えてみてはどうでしょうか。でも、最低簿記3級はもっていないと採用してくれないと思いますが、あとパソコン。パソコン開いたことありませんだと話にならないので、最低限、メール、エクセル、ワードは、わかっていないと。」
母「パソコン・・・・」
私「そう、資格だけもってても、パソコンできないんだったら採用されないんじゃないかと思います。税理士の仕事ってほぼパソコン仕事ですから。。」
本当に息子さんが税理士になりたいっていってるんですか?
私「私、親にとりあえず資格とれって言われて、消去法で税理士を選んだだけなんですけど、この安易な気持ちだと 勉強ってすごくつらいんですよね。途中全く合格できないときは本当にしんどかったですもん。なんで、こんな勉強はじめたんだって。だからこそ、本当に息子さんが目指したい!って思いにならなければ、資格目指し始めても途中で挫折しちゃう可能性あると思いますよ。一緒に勉強はじめた友達、何人、辞めたか。」
私「資格の学校のチラシって、本当に上手であれ、みると明るい将来しかみえなくなっちゃうんですよね。
でも、合格するまでって相当辛いので。ってか、合格してからも仕事内容があわなければもっと辛いとおもいますけど。資格取れば仕事ができるにはならないので、そこは勘違いせずに。」
母「・・・・・・4月から専門学校に入学するのと、大学受験のために浪人するのどっちがいいと思います?」
私「お金の話抜きでいいですか?浪人という選択肢があるのならば、私は一度大学に入っでもいいのではないかと思います。
ものすごく才能がある人間であれば、学歴なんて必要ないと思いますが。
日本で働き続ける前提で話をしますが、結局、日本は学歴社会。大卒でないと採用してくれなかったり、給料が低いというまだまだ時代錯誤な会社も多いと思っています。税理士試験、途中で挫折する人も多いことからみると私だったら選択肢を狭めないためにも大学に一回入っておくことをお勧めしたい。
しかも、大学ではいろいろな人種の人がいて、進路もさまざまで、卒業後もいろいろな情報交換ができるので、資格の専門学校だけの人脈よりもより広がるのではないかなーと個人的には思うんですが。
最初から、弱気な提案のように聞こえるかもしれませんが、それだけ難しいし、勉強していただけで合格していない人間はどこからも評価されないし、だったら、大卒という資格は持っていても損はしないのではと思います。
これから浪人生活をしてからの大学費用+資格費用(目指すのであれば)となるので、相当な資金がかかると思いますが、それだけの思いがあるのか、いなか、もう一度お話しされてはどうですかね。えらそうにすみません。」
母「(号泣)今まで誰にも相談できなかったんです。聞いてくれてありがとうございます(号泣)」
なんの電話だったんだ
ホームページに資格の電話相談サービスなんて記載もしていなかったし、
なぜこんな電話がかかってきたのか謎でしかたないのだが、
娘が産まれて半年後くらいにこの電話がかかってきた。
将来、私も同じように悩むのだろうか。
怖い怖い。
結果、お母さんにした回答は私のびっくりするくらい個人的な意見なので、
いろいろな人に相談してみてくださいと最後締めくくった記憶がある。
全然知らない人の方が、こういう相談しやすいのかな。。
~たむまみ先生の電話相談室の回顧録より~
この記事を書いた田村です。
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S59生まれのアラサ-人妻税理士。
2018年12月に処女作『ブスのマーケティング戦略』を発売。
ジャックダニエルとメガネ男子が好物。
昼は、チャリで駆け回るフットワークの軽さだけが売りの税理士。法人、個人問わず、会計税務の問題を解決するために日夜奮闘中。
目標なき成長はなし!と女子っぽくない暑苦しい一面をもっている。
しかし、夜は昼から一転。北千住を一人で飲み歩き、店員さんに絡むことが唯一の楽しみという一面ももっている。
家族構成:夫・娘(5歳)
愛読書:週刊SPA
大好きな作家様:水野敬也先生・カレー沢薫先生
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